「またお会いしましたね」の裏側:ゴミ屋敷の再発は、あなたのせいではないかもしれない

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一度片付けたのに、またゴミ屋敷に…何が悪かったのでしょう…

お部屋をきれいに片付けた時、誰もが「今度こそ、この状態を維持しよう」と強く願うはずです。

私たち片付けのプロも、お客様と「できればもう二度とお会いしませんように!」なんて、笑いながらお別れします。それは、あなたが心穏やかに暮らし続けてほしいと、心から願っているからです。

ですが、正直なところ、私たちが一度片付けをしたお宅に、もう一度片付けに入ることが少なからずあります。

「あら、またお会いしましたね!」と、そんな再会をすることもあります。

もし、今あなたがお部屋の片付けに「また」つまずいてしまっているとしても、それは、あなたの「だらしなさ」や「意志の弱さ」のせいではないかもしれません。再発の背景には、あなた一人では抱えきれない、もっと深い理由が隠されていることがよくあります。

この記事では、現場のプロが感じる「ゴミ屋敷が再発しやすい傾向」から、その裏にある「あなたのせいではないかもしれない理由」を一緒に考えていきましょう。そして、それでも「今できること」を見つけるための、いくつかのヒントもお伝えします。

自分のマンションの部屋がゴミ屋敷になってしまった若い女性、散らかった部屋をみつめて悲しい顔をしている。その横からゴミ屋敷片付け作業員が近づいて、彼女の肩に手を置き、なぐさめ励ますような視線を送る。

プロが気づいた「またお会いする」お客様の背景にある、隠れた声

私たち作業員は、多くのお客様と接する中で、ある種のパターンに気づくことがあります。これらは決して「あなたのせい」ではありません。むしろ、あなたの心が発しているSOSサインだったり、社会の仕組みの中で、あなたが苦しんでいる証だったりするのです。

「分割払い」を選んだ方々が、なぜか再発しやすい

一括でお支払いいただく方と比べて、分割払いを選ばれるお客様が再発しやすい傾向がある、と現場で感じることがあります。

ご事情は一人一人違いますので、本当に一概には言えないのですが、もしかしたら、今の生活にゆとりがないことの現れかもしれません。

部屋を片付いた状態に維持するエネルギーが残っていないのかもしれません。

あるいは、ご依頼いただいて片付けが終わったとしても、常に心の中にそのほかの不安やプレッシャーを抱え、本当の意味で気持ちを切り替えられない状況にある方が多いのかもしれません。困り果ててご依頼いただき、片付いたとしても、ご自身の生活をめぐるさまざまな困難は片付いていない。そんな状況を物語っているのかもしれません。

体調が思わしくない時、お部屋も荒れてしまう

「最近、体調が良くないな…」「なんだか気分が沈みがち…」そんな時、お部屋の片付けまで手が回らなくなることがあります。

もちろん、身体的なご病気で思うように体が動かせない場合は、お部屋を思うように片付けられないのは当然のことです。

それだけでなく、うつ病や自律神経の不調など、目に見えにくい病を抱えていると、それにご自身で気が付いていなくても、体を動かすこと自体がおっくうになったり、判断力が鈍ったりして、それがお部屋に現れることがあります。

お部屋の乱れは、あなたの体調や心の状態を映す、大切なサインかもしれないのです。「片付けられない=ダメ」ではなく、「私、今無理をしているんだな」という体からのメッセージだと受け止めてあげたほうがいい場合があると思います。元気な時ならできることが、できないのは、あなたのせいではなく、体が休息や治療を求めている証拠かもしれません。

「同じ部屋のままゴミ屋敷卒業」することの難しさ

片付けと同時に引っ越しされる方と比べて、同じ部屋に住み続けるお客様の方が、再発しやすい傾向があります。

引っ越しすると、「心機一転」しやすいのかもしれません。

また、同じ部屋、同じ環境にいると、良くも悪くも「慣れ親しんだ過去の習慣」が呼び起こされやすいかもしれません。「この場所にはいつもこれが置いてあった」「この隅っこに物を積んでしまう癖がある」といった、脳が覚えている過去のパターンは、意識しないと変えるのがとても難しいものです。 部屋は物理的にきれいになっても、心理的に切り替えるのはまた別のことでしょう。

若い男性が外回りの営業の仕事をはつらつとした笑顔でこなしている姿。しかし、その同じ彼が家に帰ってくると、どことなく疲れた顔で座卓で食事をしており、目線が定まっていない。食卓のまわりには弁当のから容器や飲み終わった清涼飲料のペットボトルなどがちらばっているが、彼はそれを気にする余裕もない。

ゴミ屋敷の再発は、なしにしたい、と思ったら…

ゴミ屋敷の再発は、正直言って一人一人のおかれた環境や特性によると思いますので、一概に「なんとか防ぎましょう」というのも違うように思います。

作業終わりに、冗談めかして、もう二度と来ませんからなんて言いながらお別れしたりしますが、同じ方、同じおうちに再びお呼びいただくと、「またお会いしましたね!」なんて言って、また同じように片付け作業をさせていただきます。

ですが、費用もかかることですし、「ゴミ屋敷再発したくない」「繰り返したくない」と思われる方も多いはずです。

そんなとき、無理にがんばろうとするよりも、例えばこんなことが、前向きなきっかけを与えてくれるかもしれません。

自分の本当の心の声に、耳を傾けてみる

なぜお部屋が散らかってしまったのか、その背景にある「あなたの心の声」に耳を傾けてみるのはどうでしょうか。

孤独を感じていないか、心が疲れていないか、無理をしていないか…

その原因に気づくことが、根本的な解決への第一歩になるかもしれません。

自分を責めるのではなく、「よく頑張っているね」と優しく声をかけてあげてみるのはどうでしょうか。

完璧でなくていい。「小さな一歩」から始めてみる

全てを完璧にしようとすると、また心が疲れてしまいます。例えば、毎日「これだけは」と決めた場所(玄関の靴を揃える、テーブルの上の物をゼロにするなど)を、たった5分だけ片付けてみる。できた自分を褒めてあげましょう。無理なく続けられる「小さな一歩」が、自信につながります。

「助けを求めること」は、弱さではなく強さの証

もし、またお部屋が散らかり始めたと感じたら、自分一人で解決しようとせず、誰かに助けを求めてください。友人や家族、そして私たちのような専門家を頼ることは、決して恥ずかしいことではありません。むしろ、自分の状況を認め、より良い未来を選ぼうとする「強さ」の証です。

「仕組み」ではなく「環境」を変えることも視野に

同じ部屋に住み続けることが難しいと感じるなら、引っ越しという選択肢も考えてみましょう。物理的に環境を変えることは、心機一転、新たな習慣を築く大きなきっかけになります。それが難しい場合でも、家具の配置を変える、カーテンを新しいものにするなど、小さな変化から始めることも有効です。

「記録」で、心の変化に気づく

片付けた直後の部屋を写真に撮っておいたり、簡単な日記をつけるのも良いでしょう。完璧な状態を維持するプレッシャーではなく、少しずつ散らかり始めた時に「あれ?なんだか疲れてるのかな?」と、自分の心の変化に気づくためのツールとして使ってみてください。

ゴミ屋敷で生活する若い女性。ゴミの山に埋もれた小さな座卓の前に座り、姿勢をただして目は前を向き希望に満ちた顔をしている。手は小さくガッツポーズをしてこぶしをにぎっている。

最後に:私たちはいつでも、あなたの味方です

もし、ゴミ屋敷が再発して、「また会いたい」というご連絡があったとしても、私たちは決してあなたを責めたりしません。

それはもちろん、業者だからというのもありますが、一人の人間として、ただ、「よく頑張ったね」「また一緒に始めよう」と、あなたの心に寄り添い、前に進むためのお手伝いをしたいと思っています。

ゴミ屋敷の再発は、決してあなたのせいではないかもしれない。そのことを知るだけで、きっと心が少し楽になるはずです。私たちはいつでも、あなたの「味方」です。

もし、今お部屋のことでお悩みなら、一人で抱え込まず、私たちお悩みサポート24にご相談ください。
私たちは、あなたの状況を理解し、心に寄り添いながら、新しい一歩を踏み出すお手伝いをします。どんな小さなお悩みでも、お気軽にご連絡ください。

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