ゴミ屋敷の人間模様。心が通い、思い出に残る依頼者様もいます

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2019年に、テレビ東京「家、ついて行ってイイですか?」で、とても印象に残るエピソードが放映されました。

「心から愛した恋人は生き別れの双子だった…ゴミ屋敷に埋もれた38歳女性の真実」

このエピソードはのちにドラマ化もされたそうで、テレ東のディレクターがYouTubeでコメントしています。家について行ったディレクターとは別の方のようですが、

「亡くなった恋人が実は双子だったということは、番組のディレクターに初めて話すことができた」

と、ロケ後にご連絡があったんだそうです。

人生まで聞くことはありませんが、心に残るご依頼案件はあります

私たちは、ご依頼を受けて片付け作業をする際に、基本的には依頼者様の人生まで立ち入ったお話を聞くことはありません。

ですがやはり、一人の方の生活空間を片付ける仕事ですので、心が通う瞬間というのは、時々あります。

お受けして良かったな、ご提案してよかったな、といった思い出に残る作業というのはあります。

きょうは、そんな思い出話をしてみようと思います。

思い出の空 夕暮れ

ご依頼になかったクリーニングを提案。「おかげでこの部屋が好きになりました」

弊社の「作業実例」にも掲載しているご依頼案件です。

ゴミ屋敷状態で生活をされていましたが、そこでゴキブリが出たため、ゴキブリだけは無理だ、と片付けのご依頼がありました。

6人で丸一日作業をして、ゴミの撤去は終わりました。

依頼者様にお見せすると、

「これで十分です。今日から新たに生活していけます。」

と言ってくださいました。

ですが、まだ部屋には汚れ・シミがかなり残っていました。

汚れた洗面台
※写真はイメージです。本件ご依頼の現場ではありません

もっときれいになるのにな、と思っても、ご依頼主様がこれで良いとおっしゃっている場合は、通常はそのまま作業終了します。ご依頼のない作業を勝手に行うことはありません。

ですが、このご依頼の現場は特別でした。

長期間ごみが積み重なっていたため、ごみを撤去しても、ゆかや洗面台が汚れにまみれており、そこで生活するご本人様のことを思うと、どうしてもクリーニング作業をしないで現場をあとにすることができませんでした。

「クリーニング作業もやったらどうかと思いますが、どうですか?」

こうご提案しましたが、うーんと考え込んで、

「いや、これでいいです、ありがとうございます」

というお返事でした。

表情があまり明るくない男性
※写真はイメージです。本件ご依頼者様の写真ではありません

どうしよう、いくらご本人がいいとおっしゃっていても、今日からこのドロドロのお部屋で生活されるのを想像すると、ちょっとさすがにそのまま立ち去ることはできません。

本当に、ふだん、こんなことはないのですが…

結局、悩んだ末、この現場だけは、私たちの判断で、クリーニングを実施することを決断しました。

結果をお見せして、いらないことをしたとおっしゃったら、最悪費用はいただかなくていい。この部屋から、依頼主様の新しい生活がちゃんと始まれば、その方が私たちも気持ちよく仕事を終えられる。そんな気持ちでした。

そこから、3人で一日かけてクリーニングを行いました。フローリングの汚れをとり、壁のシミも落として白い壁紙に戻しました。

トイレ・洗面台のこびりついた汚れも丹念に取り除いて、真っ白に戻しました。

清掃作業

作業が終わり、もういちど依頼主様に、お部屋を見ていただきました。

こうこういうわけで、こちらの判断でクリーニング作業をさせていただきました、という事情も説明しました。

部屋に入った依頼主様の表情が、明るくなるのが分かりました。

クリーニング前に「これでいいです」とおっしゃった時とは、明らかに表情が違いました。

笑顔の男性
※写真はイメージです。本件ご依頼者様の写真ではありません

「仰っていた意味は分かりました。やって頂いて良かったと感じています。
おかげで、新しくなったお部屋が大好きになりました。
この状態から新たに生活し直して行きます」

依頼主様はそうおっしゃり、本当に喜んでくださいました。

そして、「ちょっとゴミ袋を買ってきます」、そういって、みずからコンビニに向かわれました。

私たちも、悩んだ末の決断だったのですが、心から喜んで「部屋が好きになった」と言われたのを聞いて、

ああやっぱり、やって良かった、本当に良かったな

という思いで、現場をあとにしました。

公園を歩く男性

おそらく、長期間ゴミ屋敷状態で生活されていて、感覚が麻痺されていたのだと思います。

私たちも、程度の違いはありますが、経験ありますね。部屋の中や車の中が、だんだん散らかっていくのが気になってはいても、だんだんそれが普通になってしまいます。いざ大掃除をしてみると、「この部屋はこんなにきれいだったのか」「車の中はこんなに広かったのか」と感じることがあります。

片づける、きれいにする、ということが、そこに住む方の心まで明るくすることがあります。

重ねて申し上げますが、ふだん私たちは、ご依頼もない作業を勝手に行うことはありません。ですから、これを読んで「自分も麻痺してしまっているかも…」と感じられた方は、ぜひ、思い切ってご相談いただければと思います。

新緑と太陽 希望のイメージ

片付け費用がない、分割払いも通らない。でも信頼してお受けした結果…

もうひとつは、お見積もり段階で、どうしても片付け費用が出せない状態だった方のご依頼案件です。

賃貸マンションがゴミ屋敷状態になってしまい、しかも、いますぐ退去しなければいけない、ということで片付けのご依頼をいただきました。

ところが、現場を拝見し、お見積りを出したところで、まとまったお金がないということが分かりました。

預金残高がゼロのイメージ

こうした場合、通常、分割払いの審査を通してお受けすることが多いです。

「いますぐ片付けが必要」という緊急事態ですので、多くの方がこの方法を選択されます。

ところがこの方の場合、信用情報が悪く、いわゆる「ブラック」だというのです。どこに分割払いの審査を出しても、おそらく通らないだろう、というレベルでした。

さてどうしますか…

私たちは現場で、ご本人とじっくりお話ししました。

しん
写真はイメージです。実際の依頼者様の写真ではありません。

この状況で片付け作業を行うためには、つまり、信販会社などを通さずに、私たち自身が分割払いを承諾して、作業をお受けするしかないわけです。

もちろん、きちんと仕事にはついていらっしゃいます。収入もあります。

しかし、この方は本当に、きちんと支払ってくれるだろうか。

月々の収入、生活ぶり、今後の見通し、ご自身の意思。そうしたことを、じっくりと聞かせていただきました。

その結果、私たちは、この方はやっていける、と判断して、「分割払いでお受けしよう」と決めました。

こうした場合、一応「誓約書」という形で一筆書いていただきます。お約束のしるしです。それをいただいて、片付け作業を行いました。

書類にサインしているようす

結果をいいますと、この方はきちんと約束通り、最後まで支払いを実行されました。

またこのほかにも、同じようなご依頼案件で、現在もきちんと約束通りお支払いを継続されている方もいます。

このような判断をする場合は、一件一件、私たちにとっても「賭け」ではあります。支払っていただけなければ赤字です。

その結果、こうしてきちんと支払って下さった方たちを思い起こすと、

「あのとき信用してよかった」
「あの方はやっぱり、きちんと生活を立て直された」

という感慨がわきおこります。

きっと、もうゴミ屋敷状態にもならず、元気で暮らしているんだろうな、そんなことを想像すると、また次のご依頼に向かう元気も湧いてくるというものです。

固く握手をする作業服の男性

ゴミ屋敷の片付け、お気軽にまずご相談ください

とりとめのない思い出話にはなりますが、この仕事をしていると、ゴミ屋敷状態を脱して、新しい生活を始められる方と、本当にたくさんの出会いがありました。

ゴミ屋敷状態になってしまった場合は、まずやはり、「片づけて心機一転しよう」と思い立つこと自体がなかなかできないものです。

明日退去しなければいけない、明日知り合いが訪ねてくる、その段階になって、一気に片づけなければいけない状況になる方がほとんどです。

ですから、もしこの記事を読んで、部屋を片付けよう、という気持ちが湧いた方は、ぜひお気軽にご相談いただきたいと思います。

退去期日が迫っている、
作業できる日や時間がかぎられる、
手持ちの費用があまりない

そんなご相談でも、まずはお寄せいただければと思います。

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