遺品整理「家じまい」の料金トラブル。国民生活センターへの相談が急増
近年、少子高齢化の進展に伴い、親世代が亡くなった後に家を整理する「家じまい」の需要が急増しています。
最近、こんな記事が話題になりました。
遺品整理業者に関するトラブルが増加しており、国民生活センターへの相談件数はこの10年で3倍にもなったそうです。
記事によれば、依頼者が「見積もり金額と最終的な請求額の差異」に驚くケースが多いということです。
記事から、料金に関するトラブル事例を抜粋すると
- ネット広告で「1LDK 8万円」と記載されていたので申し込むと2倍の16万円を請求された
- 解約しようとしたら契約額の半額をキャンセル料として請求された
- 軽トラック詰め放題3~4万円というネット広告で、見積もりを依頼すると、軽トラ5台分はあると18万円を請求され、しかも実際の作業では1台分だけだった
- トラック詰み放題の定額料金で契約したはずが、荷台の枠の高さ以上に積むと追加料金が必要と言われ、数倍の料金を請求された
実際に遺品整理のご依頼を受けて作業している立場から、料金トラブルが起きる背景、トラブルを避ける方法について、書いてみたいと思います。
ネット広告の金額は「最低基準額」に過ぎません
業界の立場から言えば、ネット広告で表示されている金額は、あくまで「最低基準額」に過ぎません。
遺品整理の費用には、車両の手配費、人件費、作業環境の違い、搬出方法、ゴミの処分費用など、さまざまな要素が絡みます。
実際に業者が現地で見積もりを行うと、こうした追加の要素が反映されて最終的な金額が決まるのです。
弊社でも、ホームページには、例えば「ライトプラン 15,000円~」「スタンダードプラン 30,000円~」のように、おおまかな物量に応じた最低金額の目安しか掲載しておりません。
もちろん、見積もり金額が後から変わったり、曖昧な説明があったりするのは問題です。
ですが、費用の変動そのものはある程度「やむを得ない部分がある」とも言えます。
「詰め放題」という表現には要注意
特に「軽トラック詰め放題」といった広告は、弊社から見ると「あり得ない」と言わざるを得ません。
当たり前のことですが、一台の車に積める量には限度があります。その限度内で作業が終わるかどうか、見積もりをしてみなければ分かるはずがないからです。
作業をお受けする以上は、片付けの「完了」がゴールのはずなのですが、一台の車に詰め切れなかったからといって、途中で撤収してご納得いただけるはずはありません。
ですから、最初から一台分と決めて「詰め放題」とうたうことが、果たして意味を成すのか? と疑問に感じます。
しっかり話し合って決めればトラブルは起きません
「安ければいい」「高ければダメ」ではない
依頼者様の側からみると、
「安い業者が良い」
と考えがちですが、
業者側の立場から見ると、
「安ければ正しい」わけでも「高ければ悪い」わけでもない
のが実情です。
遺品整理の作業料金は、ご依頼ごとに様々に異なる要素があり、最終的には「人と人とで相談して決める」ものです。
しっかり話し合いながら進めれば、トラブルは起こり得ません
料金が高い場合でも、きちんと丁寧な説明があり、依頼者が納得したうえで契約が進めば、トラブルは起きません。
確かに決して安い費用ではありませんが、
業者側としても、依頼者様のご希望にそった内容でご提案し、作業開始から完了までしっかり話し合いながら進めれば、何ら問題は起きないものと考えています。
逆に、それでトラブルになる方が不思議です。
実際、弊社でも他社より高めの費用をご提示したことはありますが、
理由も含めてきちんとご説明し、ご納得いただいて進めておりますので、
クレームが一度も発生したことはありません。
とにかく、依頼者様ご自身でしっかり聞いて、しっかり判断をしてください。
提示された見積もりに納得できなければ契約しないこともまた、ご依頼者様次第だと思っています。
安い値段に飛びつくのではなく、見積もりに十分納得してご依頼ください
「家じまい」は、単なる物の整理ではなく、故人の思い出をどう扱うかが問われる繊細な作業です。
業者を選ぶ際は、ネット広告の「最安値」だけに飛びつくのではなく、複数の業者から見積もりを取り、料金だけでなく業者の対応を見極めることが大切です。
家じまいの費用は決して安くありませんが、依頼者が納得したうえで進めれば、トラブルは未然に防げます。
重要なのは、依頼者様の側でも、業者に丸投げせず、一緒に進めていく姿勢を持っていただくことです。価格だけでなく、業者の誠実な対応や信頼できる説明に目を向けることで、家じまいの失敗を防げるでしょう。
ぜひ慎重に業者を選び、納得の作業見積もりを取って、後悔のない家じまいを進めてください。